人工知能に関するどのような話題があるか?

今日、私たちは自律走行車、医療アプリケーション、検索エンジン、仮想アシスタント、そして画像認識の中に人工知能(AI)を見つけることができます。あるいは、私たちは本当にまだそれを見つけていないのかもしれません。「本物の」AIはまだ存在せず、本当の意味でのAIアプリケーションを作り出すにはまだ何年もかかる、と言う人もいます。 AIがどこまで来たのか、そしてそれが社会と監視のために潜在的に何ができるのかについて、整理してみましょう。

AIはどこまで来ているのか?

この用語が1956年に紹介されて以来、AI技術は明るい未来、あるいは完全な失敗、そして、監視を含む多くの用途において興味深いツールとしてもてはやされてきました。2015年以来、AI技術、あるいは少なくともその初期段階にあるものは私たちの日常生活の一部となっており、現在多くの用途で人気の高いキャッチフレーズになっています。

私たちは本当にインテリジェントなマシンからはまだ遠いところにいるのかもしれませんが、AI技術は音声認識や検索エンジンに、そして医療分野では癌のマーカーを特定するのに使用されています。しかし、言葉の翻訳にはまだ長い道のりがあります(機械翻訳されたテキストを読んだことがある方なら、誰でもそう思うでしょう)。これまでのところ、自動運転車とサービスロボットのプロトタイプくらいしかないとも言えます。

一部の人々は、AIが最終的に監視ソリューションの変革者になることを期待していますが、その理由を理解するのは簡単なことです。AIシステムは膨大な量のデータを分析することができます。それはもちろん皆さんが何時間もの監視画像を見直さなければならない場合に有利となります。観察された物体がどのように動くのか、それがどの程度の高さや大きさであるのか、2本の腕と2本の脚を持つのか、そしてどれだけ速く進んでいるのかを「学ぶ」といったことが例になりますが、AIアプリケーションは情報をランク付けして、その物体が人間かどうかを判断しています。物体がどの方向に動いているのか、そして複数の物体があるのかどうかを伝えるようにシステムをプログラムすることもできます。この種の機能は、今日の安全維持とセキュリティの分野では一般的なものです。

人工知能、機械学習、ディープラーニング

AIは知的な仕事を刺激する行為です。AIの本質的な要素は機械学習(ML)で、時には2つの表現が同じ意味で使われています。AIはアルゴリズムを使ってデータを調べ、そこから学び、そして予測を行います。しかし、複雑な人間の脳を模倣するためには、コンピュータに多くのトレーニングが必要です。いわゆるディープラーニング (DL)は、MLを実装するための高度な方法ですが、「より深い」知識を生み出すには、大量のデータ、高度な分類、および一連の分析が必要です。計算集約型モデルであるDLは、現在、主に複数のGPUプロセッサを搭載したサーバー上で実行されていますが、エッジデバイスの処理能力が向上すると、将来的には一部のアプリケーションがエッジデバイスに移行する可能性があります。

監視におけるAI  – 目的を持った設計

AIの有る無しにかかわらず、監視ソリューションは、あらゆるビジネスとあらゆる施設がそれぞれ固有のものであることから、既製品だけですべてを賄えることはほとんどありません。システムの主な目的とその成果物がどのように使用される可能性があるのかを理解することは、監視ソリューションを構築するのに不可欠です。また、システムが施設の持つ特有の条件に適合し、それが適切に維持されている場合に限り、画像の有用性が実現します。したがって、監視ソリューションを成功裏に導入するためには、ただ技術にだけ注力するのではなく、常に特定のユースケースに対する解決策を作ることに力を注ぐ必要があります。AIは、人間のノウハウがあらゆる種類の事項として考慮されているように慎重に設計された完全なソリューションの一部である限り、監視用途において大きな機会を提供できるでしょう。

監視におけるAI  – 利点

膨大な量のデータを処理し分析する必要がある場面では、コンピュータは常に人間を上回っています。この点を活かすことで、よく訓練されたAIをさらに高いレベルのデータおよび画像分析用に利用することができます。 この機能は多くの用途で実用的なものとなるでしょう。

安全性とセキュリティ

AIは防犯と犯罪解決のための完璧なアイデアのように見えます。AIシステムは、もし適切に設定され構成されているならば、複数の映像ソースにある数時間分のビデオ素材から事象を検出してすばやく関連付けることができます。他のケースでは、企業はAIによるより直接的な介入による恩恵を受けるかもしれません。たとえば、AIを使用する監視システムが警報を人の手を介さずに直接トリガーして、潜在的な犯罪行為を見つけて発生前に「人に知らせる」といった使い方です。

ビジネスの最適化とスマートシティ

AIはまた、現在のシステムをより正確にする可能性も持っており、たとえばショッピングモールや人が密集している道路での人や車両の流れをよりスムーズにするといったこともありえます。AIを使用した監視システムを通じて、もし複数のサーバーで実行している場合に、異常な行動パターンを検出し、そのデータを使用して小売業の業務効率を最適にすることができます。あるいは、AIシステムに主要な高速道路を監視させることで、交通量の制御や、事故が発生した際に迅速な対応に役立てることができるでしょう。

監視におけるAI – 課題

システム構成の改善、システムの最適化、サイトの設計、映像の構成、デバイス管理など、さまざまな用途でAIが持つ可能性に夢中になるのは簡単なことです。しかし、解決すべき根本的な課題がまだあります。

人間の経験はAIに勝る

AIアプリケーションは「走っている人」を正しく検出できますが、その人物がなぜ走っているのか(バスに駆け込もうとしているのか、銀行強盗をして逃走しているのか、といったこと)を知ることができません。人間があるデータをその状況の重要性を踏まえて考えることができることに比べると、このことは明らかです。監視用途にAIを組み込んでいる企業からの公約にもかかわらず、コンピュータには、人間と同じような見識でモノを理解することができません。このような正確さが欠けていることから、今日のAIシステムは主に人間の意思決定を支援するために使用されるのに留まっています。

データの質

画像の有用性は常に最も重要なテーマとして挙げられます。高品質の映像による「原材料」が得られなければ、AIシステムは何も分析することができません。もしカメラが厳しい照明状態を克服できない場合、またはカメラが間違った向きに取り付けられている場合、AIは分析するものが無いとして判断するか、間違った結論へと飛躍することになるでしょう。木が常に風に吹かれているような環境や、またはAIシステムがイレギュラーだと誤解するような物体を運んでいる人は、多くの誤報を引き起こす可能性があります。したがって、AIを使用するのは、インシデントの関連性を大まかに判断して、人に警告して対応を決定してもらうといった場合に限られてしまっています。

計算集約型テクノロジー

メモリ、処理能力、および消費電力は、AI、特にディープラーニングアプリケーションにとって、最大の課題です。今日のシステムでは、クラウドまたは複数のGPUを搭載したサーバーのいずれかに、学習用のデータを格納するための膨大なスペースが必要とされています。

結論

AIシステムはここ数年で急速に発展しており、監視分野における可能性を示していますが、人間と同等レベルのインテリジェンス、つまり「真の」AIを開発するには程遠い状態にあります。誤報をたくさん起こしたり人々の尊厳を侵害したりするリスクを冒すようなことが無い、正確な仮定を立てられる自己学習型の監視システムを見られるようになるまでには、まだしばらく時間がかかるでしょう。

 

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