物流センターの安全性、セキュリティの向上と効率化の実現

新型コロナウイルス感染症が世界的大流行したピーク時に大幅に急増したオンライン通販の売上高は、幾分減少したとはいえ、引き続き上昇基調にあります。米国では昨年末の時点で、Eコマースの総額が小売業全体の売上高の13%に達し、英国では現在26%以上です。こうした増加に伴い、物流センターの拡張が続いています。最近発表されたあるレポートによると、ヨーロッパでは過去1年間に、物流センターの面積が平方メートル単位で10%増大し、今年はさらに3%増大すると推測されています。

自動化によって物流センターの効率性が向上していますが、人間の関与が減れば、サプライチェーンに広がる一連のプロセスをより少ない人数で監督することになります。そこで、スタッフの安全を確保し、取り扱う商品を保護する上で、テクノロジーの重要性が高まっています。

ネットワークカメラシステムは、こうした課題に対応することができます。適切なアプリを追加すれば、テクノロジーによって、注文に応じた商品のピックアップから配送まで、業務効率が向上する可能性があります。

 

物流センターの安全性

物流センターのあらゆる場所をカメラで効率的に監視すると、棚が並んだ通路から発送エリアまで、内部のセキュリティとスタッフの安全を確保することができます。最大180°のパノラマビューが得られるマルチセンサーカメラを導入すれば、必要なカメラの台数が削減でき、ハードウェアの総費用を削減できます。棚が並んだ通路など、視界が遮られるエリアを監視するには、パン/チルト/ズーム (PTZ) カメラの使用が望ましいでしょう。

監視カメラを通じてリスクを発見した場合、生音声で警告したり、措置を取るようスタッフに指示をしたりすることができます。潜在的な危険を防止するため、解析機能を搭載したカメラで警告を自動的に発することもできます。たとえば、スタッフや訪問者が防護具を着用していないとカメラが検知した場合、接続された音声スピーカーを通じて警告することができます。単独で輸送業務に携わる従業員を継続的に守るには、装着式カメラを導入し、転倒など動かない状況を示すマンダウンアラームなどを使用して安全性を強化し、問題に対応することもできます。

トラック、小型トラック、フォークリフト、乗用車など、施設に乗り入れる車両がスタッフや訪問者の安全面でのリスクになる場合がありますが、ネットワークカメラに統合されたテクノロジーを利用して、より安全な環境を作ることができます。安全速度を守らない車両がカメラで検知された場合、光と音声を組み合わせて運転者に警告を発するストロボサイレンと同時に、ホーンスピーカーで音声メッセージを流したり、指示を出したりすることができます。車両をレーダーで追跡し、車番認識技術と連携して、禁止されている抜け道の使用や一方通行の逆走など、違反行為も簡単に特定することができます。

特に、車両専用エリアでは、解析機能を搭載したネットワークカメラが歩行者を発見した時点で車両にアラームを発し、歩行者の安全を確保することができます。同時に、ストロボサイレンで歩行者に警報を発し、危険を知らせることができます。

物流センターは大量の商品を保管する場所であるため、スタッフや訪問者だけでなく、保管品も保護する必要があります。中でも、火災は大きなリスクになります。従来型の煙検知器は有効ですが、煙がセンサーに侵入しないと検知機能が起動しないため、アラームの発生が遅れる場合があります。低照度条件下でも高品質な画像が得られるカメラを使用する火災検知機能を追加すると、防火対策の精度や信頼性が高まります。より早い段階での検知が可能になり、火災原因についても、ビデオ映像を利用して容易に特定することができます。

 

周辺のセキュリティの確保

商品が大量に集積し、その多くが高額品である物流センターは窃盗者の絶好のターゲットであり、サプライチェーン全体を見渡しても、物流センターでの盗難の発生件数が増加しています。特にクリスマス前などの繁忙期は、臨時の雇用で作業員の比率が高まることもあり、リスクが増大します。よく知られている盗難の方法として、ラインや倉庫から抜き取った商品を、境界ラインに侵入した共犯者が待ち受ける施設外の場所に置くというものがあります。そのため、境界ラインの保護が重要であり、要件に応じてカメラ技術を組み合わせることで、非常に強力な防犯対策を取ることができます。

パン/チルト/ズーム (PTZ) カメラを使用すると、潜在的な侵入者を視覚的に詳細に識別することができます。境界防御と組み合わせれば、潜在的な侵犯行為に対して自動的に警告を発するとともに、容疑者をズームインし、追跡することができます。セキュリティの強化、アラート、追跡によって効率性も高まり、より少人数のスタッフで多数のカメラをカバーすることができます。

サーマル技術や赤外線技術を導入して、実際のカメラ台数が減らせる可能性もあります。視覚的な照明を必要としないため、暗闇の時間帯でも検知を行えます。赤外線の利点は広角監視です。一方、サーマルカメラは、ビジュアルカメラよりもはるかに遠距離から潜在的な侵入者を検知することができます。この特性によって緩衝帯が作られ、早い段階で検知された侵入者が境界線に達しないうちに、音声スピーカーによる警告メッセージや、検知されていることを知らせる投光照明など、抑止策を取ることができます。警備員が急行する必要がある場合は、境界侵犯のはるかに前の段階で指示を出すことができます。

 

アクセスコントロール

物流センターの境界保護には、アクセス地点の管理も含まれます。多くの部外者の輸送車両が出入りする物流センターにおいては、特に、無人の荷受場や発送場を使用する場合は、車両のアクセスを検証することが不可欠です。

ビデオ通信機能を搭載したインターコムシステムを導入すると、施設の入口や無人ゲートのリモートアクセスコントロールが可能になり、自動車番認識機能を追加することで、効率性とセキュリティが向上します。このテクノロジーによって、人員を配置せずに不正侵入を防止しながら、車両アクセスの簡便性とスピードを高めることができます。

RFIDリーダーやインターコムなどのアクセスコントロール技術を使用して、物流センター内の指定地域への立ち入りを管理することにより、業務運営を迅速化、効率化すると同時に、指定地域への立ち入りを禁止することができます。

 

梱包と配送の効率性

ネットワークカメラシステムを使用して、安全な環境を確立できるだけでなく、顧客サービスや梱包ラインの効率性も高めることができます。すべての注文とその受け取りを示すブックマークを生成することにより、注文品の梱包をビデオで追跡し、すばやく簡単に検索することができます。その結果、顧客サービスが向上し、従来よりもはるかに迅速な苦情対応が可能になると同時に、誤った返金要求や、詐欺的な返金要求による損害を減らすことができます。

注文された品物を積込む際、荷物をパレットやボックスから小型トラックに移す際のチェック段階から、カメラで日付スタンプ付きの視覚的な記録を残すことにより、プロセスが迅速化し、担当者が手作業で写真を撮る必要がなくなります。このテクノロジーには、配送の最終段階であるラストワンマイルの確認に有益なウェアラブルカメラも含まれ、期待される条件下で配送が行われたことを効率的に確認する手段になります。荷下し時の荷物の取り扱いもネットワークオンボードカメラで監視することができ、車両の内部では、ドアやトランクが開いたままになっている場合、解析機能によって運転手に警告することができます。

物流分野の未来は、データ主導、テクノロジー主導です。業務プロセスを確実に保護し、技術を利活用してビジネスをより安全に、より持続可能にするにはどうすればよいでしょうか。この質問への答えを導き出すには、ネットワークカメラ、音声、アクセスコントロール、そして、それらが提供する機能が重要な役割を果たします。

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