アトランタ警察は、犯罪抑止のために移動式監視トレーラーを配備しています。
Axis CommunicationsとCompass Security Solutionsは、犯罪を抑止し、状況をより正確に認識できるよう、太陽光発電の監視トレーラー一式を、アトランタ警察向けに製造しています。
ミッション
アトランタ警察とその戦略的公安パートナーであるアトランタ警察財団は、監視対象とする地域やイベントを拡大して犯罪を抑止する方法を、継続的に模索しています。 アトランタ市は、大規模な集会が開かれる際に追加の短期的な対策として活用できる移動型のソリューションを求めていました。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンや、ロックダウンに続く抗議行動が始まったことで、対応する部隊を大幅に拡大する必要があることを、警察側ではっきりと認識しました。 政府機関は、市のビデオ統合センターを活用できる技術的ソリューションを模索していました。同センターを活用することで、何千台もの公共・民間の監視カメラから映像を収集できます。
ソリューション
アトランタ警察財団は、現場から現場へと素早く配備できる移動式監視トレーラー4台を一式として構築するよう、Compass Security Solutionsに依頼しました。 各トレーラーには、21フィートのマスト上に取り付けられたAxis Communicationsのネットワーク パン・チルト・ズームカメラ、AutoVu™ SharpV、Genetec™ による自動ナンバープレート・リーダー、Axisの安全アナウンス用屋外スピーカーが装備されていました。これらの機能はすべて太陽光発電のプラットフォームで自律的に動作し、太陽光がなくても最大5日間動作を継続できます。
結果
移動式監視トレーラーは、警官が常駐できないエリアでの犯罪を抑止し、カメラが設置された場所で発生した事件に警察が対応する際に現場の様子を見られるようにすることで、アトランタの治安を大きく改善しました。 監視トレーラーは、調査でも活用されています。 銃撃の様子がビデオに映っていたことで、逮捕につながったケースもあります。 アトランタ警察財団は、監視トレーラーの価値、使いやすさ、持続可能性を評価しており、今後さらに導入したいと考えています。
トレーラーがあることで、必要なエリアに監視装置を素早く配置し、犯罪捜査に求められる品質のビデオが得られます。私たちは、AxisとGenetecがこの品質を実現してくれると期待するようになりました。 大規模なイベントや重大なインシデントに向けた対策の立て方が変わりました。
移動式監視オプションの登場
アトランタ市の出身者は50万人である一方、同市の都市部に暮らす人の数は約600万人です。 アトランタには求人が多く、文化、グルメ、フェスティバル、スポーツの全てが揃う活気溢れた地域生活が送れることから、同市に住むことを希望する人が大勢います。 アトランタ中心部はここ数年、人口増が大きい地域の上位5位に常にランクインしています。
アトランタ警察 (APD) の宣誓警察官約2,000人から成る部隊は、市内各地で開催される各種イベントに、安全な環境を提供しています。 しかし、新型コロナウイルスと大衆の抗議活動のため、公衆の安全への懸念が発生したことから、APDは移動式監視のオプションを検討していました。 APDの戦略的パートナーとして活動する非営利団体であるアトランタ警察財団 (APF) は、犯罪を抑止し、新型コロナウイルスの感染拡大や大衆の抗議活動に応じて頻繁に変化する犯罪多発地域の状況を認識できる技術的ソリューションを求めていました。
「新型コロナに付随する緊急事態に初めて対応した時、アトランタ市周辺の休業となりそうな事業をどうしたら保護できるかということをまず考えました。 一部の駐車場やショッピングモール、注意を必要とする施設が監視されていないことが分かっていたので、監視という目的で、そういった場所にカメラを配置しました」と、APF最高執行責任者、マーシャル・フリーマン氏は述べました。
アトランタ警察財団は、APDが使用する自給式の移動式ワイヤレス監視トレーラー4台を製造するよう、AxisのパートナーであるCompass Security Solutionsに依頼しました。 幅5フィート、長さ13フィートのトレーラーはすべて、ベルト駆動、アルミニウム製、21フィートの伸縮マストが特徴となっています。 各マストには、Axisのパン・チルト・ズーム (PTZ) カメラとGenetec™のAutoVu™ SharpV自動ナンバープレート・リーダー (ALPR) デバイスが取り付けられています。Genetec™はAxisアプリケーション開発パートナーであり、ビデオ管理ソフトウェアのプロバイダーです。
各トレーラーには、 Axisネットワークホーンスピーカーが設置されています。このスピーカーは、クリアで長距離の屋外通信用に設計されたユニットです。 APDは「呼びかけ」や、他のアナウンスを行う際にこのスピーカーを使用しています。
Genetec SharpV™ ソリューションを選んだ理由は、優れた読み取り精度や高度なエッジベースの分析、夜間でも動作する高速 (135 mph/217 kmh) のナンバープレート読み取り機能が備わっていることです。オンボードで処理することで、プレートの読み取りデータのみをネットワークに転送するだけで済み、画像処理や解析をすべてユニット内で完結できるため、ネットワークやサーバーのデータ負荷を軽減できます。
不安時でも市がメリットを享受できるデザイン
「警察は当初、これらのトレーラーを、私たちが「ビデオ統合センター」と呼んでいるものの可視性を高められる非常によくできたツールと考えました。つまり、設置された常設カメラでは十分にカバーできなかった重要な領域の一部を可視化する上で有用だと思ったのです。 トレーラーは、ピーチツリー・ロードレースのような大規模なイベントが市内で開催されるたびに、現場に送り込みました。 しばらくたった後もトレーラーに対する見方は変わりませんでしたが、利用方法が少し変わりました。 目標は引き続き、目が行き届いていない場所をカバーすることです。 しかし今年は、新型コロナウイルスや今でも継続中の抗議活動に関連して、さまざまな課題が発生しました」と、フリーマン氏は述べました。
必要な場所へ素早く移動し設定できるようにするため、監視トレーラーにはソーラー パネルとバッテリーが搭載されており、電力設備や太陽光に接続せずとも、カメラとスピーカーを最大5日間連続で動作できます。 電力はソーラーパネルを介して集められた後、バッテリーに貯蔵され、電装装置で管理されます。 セキュリティ機器は、スイッチを介してネットワークに接続されています。 データ通信はLTEルーターを介して行われるので、トレーラーは完全にワイヤレス状態となります。
トレーラーの製造元、Compass Security Solutionsのトーマス・フレイ社長は「一言で表すと、このトレーラーは、コミュニケーションを可能にしたプラットフォームで、トレーラー内部が機能するための電源プラットフォームが備わったデザインとなっています」と説明しました。 カメラ システムとスピーカーの負荷に基づいて必要な電力を提供できることから、Compassは700ワットシリーズのモデルCMS-700トレーラーを使用しました。
フレイ社長は、屋外エンクロージャーを備えたAXIS QシリーズPTZを、すばやくフォーカスできるという理由で選択しました。 一瞬で完璧なフォーカスを実現することは、暗い場所では特に、PTZ (パン/チルト/ズーム) カメラにとっての課題です。 これらのカメラは、高度なレーザー技術を使用して、暗闇でも常に完璧なフォーカスを実現します。 動く対象や急速に変化するシーンに瞬時にフォーカスを合わせる必要がある、市中の監視や重要な設備をはじめとした用途に最適なカメラです。
追加の「監視の眼」で、抑止と証拠を
APDは、公道レースが時折発生する長めの道路など、監視の強化が必要な市内各地でカメラの使用を開始しました。 「最近、市内で懸念されている問題として、公道レースが挙げられます。 人々は週末を不安な気持ちで迎えているので、ビデオ統合センターに最新技術を導入してソリューションを各地で実施することで、ニーズを満たせるような解決を導いています」と、フリーマン氏は述べました。
実際、公道レースが行われている最中に銃撃が発生し、トレーラーのうち1台が捉えたビデオ映像が、警察が逮捕に至る上での証拠となった事例がありました。 監視トレーラーは隠されておらず、抑止力として見えるように置かれていました。 「こういったソリューションは、秘密の作戦として目立たないように犯罪を解決できるよう、隠したいと思う人がたくさんいることは分かっています。 ソリューションを活用する上で、警察はこのような考えとは正反対の立場を取っています。 ソリューションは見えるようにしたいと考えています。人々の目に映るように。 そこに置かれていると実際に見て気付き、理解してもらいたいのです」と、フリーマン氏は述べました。
トレーラーは軽量で機敏なので、必要に応じてさまざまな場所へ簡単に牽引できます。 また、縁石を飛び越えて歩道に設置したり、階段を昇降したりできます。 サスペンション・システムは市内の移動に最適であると同時に、安定性が確保されています。そのため、カメラシステムが特定のシーンを捉えるよう配置した際に、当初設定したシーンから配置後に動いてしまうことはありません。 さらに、電源のオン/オフやチェックアウトが必要なものはすべて地上レベルにあるため、警察官がトラブルシューティングを行う必要が生じた場合でも、非常に安全に作業を行えます。
ローカルに保存、もしくは一元的にストリーミングされたビデオ映像
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための事業の休業から、勢いを増し始めた市民の抗議行動に至るまで、APDは治安を守るための業務を支える上で、移動式監視トレーラーの用途を拡大しつつあります。 「新型コロナウイルスの感染拡大への対応が始まったとたんに、全国規模の抗議活動への対処に追われることとなりました。 抗議活動がどこで発生するかについての機密情報を入手したらすぐに、カメラを戦略的に配備し、現場が十分にカバーされ可視化されたことを確認しました。そして、捉えたデータはビデオ統合センターに送りました」とフリーマン氏は説明しました。
アトランタのラウダーミルク・ビデオ統合センター (VIC) は、市の「オペレーション・シールド」計画の中心として機能する最先端の施設です。 公共・民間の何千台もの監視カメラから集められるビデオ映像を統合して、警察署が市内の通りをさらに幅広くカバーできるようにしています。
監視トレーラーのカメラから送られるビデオ映像をVICに送信して、オペレーターがライブで見られるようにしています。 映像は、カメラ本体にローカルで保存することもできます。 事件が発生し、対応が必要な場合、システムはGenetec™ セキュリティ センター (VICの統合セキュリティ・プラットフォーム) 内でイベントを生成し、対応が必要であることを誰かに即時知らせます。
「トレーラーのカメラを常にライブで見られるようにすることを目指しています。 とはいえ、ライブで状況を追うとなると、データの消費が課題となります。 通信会社との技術提携により、SIMカードをプロビジョニングしてVICにストリームバックできるようになったので、非常に助かっています」とフリーマン氏は述べました。
フリーマン氏と同氏の同僚らは治安維持の専門家として、システム統合パートナーと機器ベンダー・パートナーが、このプロジェクトで用いる各種テクノロジーに関する専門知識を提供していることを高く評価しています。 フリーマン氏は、監視トレーラーの稼働を成功に導く上で、ハイレベルなサービスが役立ったと指摘しています。
「Compassとの協力関係を通して、同社が提供するサービスのレベル、顧客への気遣いに常に感謝しています。 アトランタ市とアトランタ警察財団が、Compassの唯一の顧客ではないということは、十分に認識しています。 それにもかかわらず、Compassと仕事をすると、自分たちが唯一の顧客ではないかという気にさせてくれます」と、フリーマン氏は説明しました。 「カメラ・トレーラーにおけるCompassとのパートナーシップで大成功を収められた要因は、この点にあると思います。」
「Axisがテクノロジーの専門家であるということを、私は高く評価しています。私たちはテクノロジーの専門家ではないので、『問題があります』とAxisに頭を下げていつもお願いする立場です。問題を伝えると、Axisは続いて、私たちよりもずっと事情に通じたスタッフを非常に効率よく取りまとめてくれます。 取りまとめた人材をリソース兼ツールとして、私たちにまとめて提供してくれます。これが、問題を解決する上で本当に役立つソリューションとなっています。」
「これが、私たちがAxisとのパートナーシップにコミットしている理由です。アトランタで発生した問題すべての解決をサポートしてくれるAxisとは、今後も協力していきたいと思っています。」と同氏は述べました。
警察署は全国的に人手不足で、アトランタはその状況に慣れてしまったとフリーマン氏は指摘しています。 「人員が非常に不足している場合、警官が物理的に現場に立っている場合と同じ効果が得られるツールをどうしたら活用できるかを考える必要があります。カメラによってこの課題が解決できました」と同氏は述べました。
