手元の作業まで確認できる高解像度のカメラがIT機器の安全と付加価値を支える
32台のカメラが見守る最先端のキッティングセンター
課題
ディーアイエスサービス&サポート株式会社 関東キッティングセンターでは、お客様に代わってサーバーやPCのオプション機器組み込みや、ソフトのインストールなどの環境設定を実施してから出荷するキッティングサービスを先駆けて提供し、高い評価を受けている。同センターでは、需要が伸び続けるキッティングサービスの品質と対応キャパシティ、そして安心・安全の向上に積極的に取り組んできた。さらに近年、お客様からの作業環境のセキュリティに関する要望も多様化し、将来を見据えた抜本的な対策の必要性を感じていた。こうして、2018年5月に物流拠点である関東中央センターに併設する形でキッティングセンターの拡張移転を行い、同時にセキュリティに万全の体制を整えた。
解決策
新センターでは個々の作業をカメラで確認できることを前提にシステムの構築がなされた。手元の作業までが確認できる高解像度のカメラが求められ、最大4メガピクセルの優れた映像品質を誇る固定ドームネットワークカメラ「AXIS M3046-V 1.8」 21台が導入された。センター内の設置高さと、カバーすべき作業台の大きさと数を考慮した上で必要な視野角を計算し、最適な機種の選定が行われた。出入り口や通路にはセンター敷地の入り組んだ構造でも死 角 なく撮 影で きるよう固定ボックス型監視カメラ「AXIS M1125」が6台設置された。他に「AXIS M3026」などを含め、合計32台のカメラは同センター内の2台のモニターで一元的に管理され、問題があった際にはすぐに確認ができるようになっている。
効果
今回高い解像度のAxisのカメラを採用したことで、作業の細かい点を正確に把握できるようになった。これまでも作業のミスについては作業結果のログから確認はできたが、どの段階でなぜか間違ったのかという過程までは分からなかった。今回の導入により、ミスの発見だけでなく手順が守られているかもチェックできるようになり、作業の効率化や手順の見直しにも役立っているという。 導入後、カメラで検証しなければならないような事象はまだ発生していない。カメラが設置してあることをスタッフにも周知したことで、抑止効果が働いた結果だと言える。さらに導入したシステムで動体検知も行えることから、業務時間外にセンター内に残っている人がいたかどうかが一目瞭然でわかる仕組みとなった。これは働き方改革にもつながる取り組みとなっている。
以前はカメラで記録しておくこと自体が目的でした。今は抑止力であり、作業手順チェックにもなり、さらには働き方改革にも貢献する役割を果たしています。そういったソリューションの変化がこの3年間で見られるようになりました。これもひとえにカメラの性能が良くなったからこそ実現できることと言えるでしょう。
システム導入の背景と詳細
ディーアイエスサービス&サポート株式会社のキッティングセンターは、ダイワボウ情報システムが取り扱う商品の在庫の物流サービスの一環として重要な役割を担っている。物流倉庫ではいち早くロボットを活用したストレージシステムを採用するなど、常に最先端の技術を積極的に取り入れる同社は、セキュリティへの取り組みも早くから行っていた。Axisのカメラが初めて導入されたのは2016年のこと。情報機器を扱う性質上、お客様からセキュリティ面できちんと担保された環境でキッティングを実施してほしいとの要望が増えてきたことから、当時ネットワークを強化するとともに、9台の監視カメラの導入を決定した。
2018年5月、キッティングサービス機能は埼玉県の同社物流倉庫、関東中央センター内に移転し、それまでの約2倍にあたる1360m2もの敷地面積に関東キッティングセンターとして新たな設備の拡充を図った。拡張移転を機に、新たに作業の手元まで映し出せる固定ドームネットワークカメラ「AXIS M3046-V 1.8」が21台導入された。同機種の採用にあたっては、高い解像度、広い視野角、そして性能と価格とのバランスの3点が決め手となった。
特に作業中の手元をくまなく撮影することが重要だったため、設置高さから個々の作業エリアをカバーするのに必要な角度を綿密に計算した結果、AXIS M3046-Vの2タイプのモデルの中から広角の焦点距離1.8mmのものが選ばれた。他に「AXIS M3026」などを含め、センター内の随所に設置された合計32台のカメラからの映像は、2台のAXIS Companion搭載PCへ転送されリアルタイムで確認ができるとともに、専用のNASに1か月間動画が保存される。
拡張移転時のシステムの導入は、Axis認定パートナーであるディーアイエスサービス&サポート株式会社が、機種選定から設定、工事まで全て自社で担当した。「我々の本職でもありますし、Axisの設定ならびにツールはユーザーフレンドリーにできていましたので、特段困った点もなくスムーズに導入することができました。」と、サービス本部サービス販売部関東キッティングセンター センター長 桐畑敬一氏は語っている。
導入から約1年が経過した現在、32台のカメラが日々のキッティング業務を見守る中、その効果は様々な形に表れている。例えば箱が破損していた場合、いつどのタイミングで破損したかまで分かるようになり原因究明が容易になった。センター内はポケットに入ってしまうような小さく高価なものを多く扱っており、誤って紛れてしまう可能性も高い。終業時に2000点以上にも及ぶ工具や備品等の紛失が発覚した場合も、録画動画をチェックすることで、どこでなくなったかの追跡が可能となった。たとえキッティング作業でミスがあったとしても、どの作業に起因するものかが分かる。キッティングの手順が守られているかもチェックできるようになり、作業効率の改善にも役立っている。また働き方改革が重要課題となった今、勤務時間以外の人が残っていることが可視化できる動体検知のツールは注意喚起に非常に役立っている。
関東キッティングセンターでは現在、販売店を対象に見学会を実施しており、毎月約100名の見学者に対して作業の品質と安全性を守る様々な取り組みを説明している。
静電気対策がとられた室内にはカメラをはじめ最新の設備が整然と並び、迅速・丁寧なオペレーションを目の当たりにした見学者は、皆口々に「ここなら安心して任せられる」と言って帰っていく。依頼されるキッティングサービスの信頼性を裏付けるだけでなく、様々な使われ方をし始めたセキュリティシステムについてモデルルームのような役割も果たしている。
監視カメラの役割もここ数年で大きく進化し、第2フェーズを迎えていると言える。「以前はカメラで記録しておくこと自体が目的でした。今は抑止力であり、作業手順チェックにもなり、さらには働き方改革にも貢献する役割を果たしています。そういったソリューションの変化がこの3年間で見られるようになりました。これもひとえにカメラの性能が良くなったからこそ実現できることと言えるでしょう。」と桐畑敬一氏は語っている。
多様化するICTメーカーの要望に応える関東キッティングセンターが、今後ますます最新のテクノロジーを活用してさらなる付加価値をお客様に提供していくことが期待される。