小売業界のテクノロジー運用をモダナイズして業務効率を改善
Lowe'sはAxisと連携し、業界最高クラスの効率的なネットワークシステムを導入して小売業界のテクノロジー運用をモダナイズしています。
テクノロジーの活用で住宅リフォームの未来を創る
Lowe's Companies, Inc.は世界有数の住宅リフォームブランドの1つであり、全米に1,700店以上を展開しています。
現在同社は世界規模のオムニチャネル小売業者への転換を進めており、顧客と従業員の双方の体験を向上させながら継続的に経営を改革しています。 Lowe'sは最新式セキュリティシステムの導入を決定した直後からAxisと連携しており、以後4年にわたってあるプロジェクトを進めてきました。それは400種類以上のカメラモデルを運用していたレガシーのアナログなセキュリティシステムから、AxisのカメラとGenetec™製のビデオ管理システム (VMS) で構築された、業界最高クラスの効率的なネットワークシステムに移行するというプロジェクトです。
「80,000台を超えるカメラの交換を検討してみると、非常に骨の折れる作業だとわかりました。 特に、使用していたカメラも配置もすべての店舗で異なっていたことが厄介でした」と語るのは、Lowe's Companiesのテクノロジーオペレーション担当シニアマネージャー、ドン・ジェームズ氏です。
フォーチュン50の小売企業でもある同社は、果たしてどのようにこの作業を行ったのでしょうか。
まず資産保護を担当する2,000名ほどのユーザー向けに、損失防止ツールとしてAxisカメラを設置しました。 現在では約30,000人の従業員がカメラからインテリジェンスを抽出し、部門の業務改善に役立てています。
カメラテクノロジーのデジタル化で効率を高める
最初のステップはカメラのモデルをごく少数に絞って標準化し、新しいシステムをテクノロジーチームにとってサポートしやすいものにすることでした。 この結果Lowe'sのプロジェクトで使うAxisカメラは、ラインナップのうち主要モデル6つに限定されました。 それがAXIS P32 Dome Cameraシリーズ、AXIS M42 Dome Cameraシリーズ、AXIS M30 Mini Dome Cameraシリーズ、AXIS P56 PTZ (パン/チルト/ズーム) Cameraシリーズ、AXIS P37 Panoramic Cameraシリーズ、AXIS M11 Box Cameraシリーズです。
当初、導入作業はスローペースで進んでいました。 ジェームズ氏は導入ペースを加速させるために戦略を変更し、ノースカロライナ州ムーアズビルのLowe’sストアサポートセンター (本社) が提供する特定のパラメータを使用して各カメラを事前構成するようインテグレーターに求めました。 事前構成済みの場合、カメラをネットワークに接続すると、コントローラーによって自動的に認識されます。
ジェームズ氏は次のように振り返ります。「この変更のおかげで、プロジェクトの工期中もカメラビューを確認できるようになりました。資産保護チームにとって納得できるカメラビューになっているか、工期の最終日を待って確認する必要がなくなりました。 また事前構成したことで、毎週金曜日に最大2,000台のカメラをネットワークにインポートすることが可能になりました」
カメラシステムを最新化するにあたっては、新しいビデオ管理プラットフォームへの移行が必要です。 Lowe'sは各店舗に専用のオンサイトサーバーとUPS電源バックアップを備えた堅牢なGenetecソリューションに投資することで、十分な事業継続性の確保を図りました。 「Lowe’sはサプライヤーと連携して効率を高めることを重視しています。パンデミックの時期にこのプロジェクトを押し進めたアプローチも、その良い例です」とジェームズ氏は指摘します。 Lowe'sはメーカーやインテグレーター、販売代理店と緊密な協力関係を築き、感染症の拡大時期にも積極的な展開ペースの維持を可能にしました。 パートナーは横断的な協力体制を通じて物流を正確に予測できたことから、必要なとき、必要な場所にタイムリーに製品を配送しました。
ユーザーネットワークの拡大
最新のカメラテクノロジーを導入すると、ユーザーネットワークは右肩上がりに成長し、ビジネス効率を高める機会が生まれました。 当初対象ユーザーとして想定されていたのは資産保護の業務担当者でしたが、現在は35,000人を超える従業員が業務に関するビジネスインテリジェンスを求めてカメラにアクセスしています。
ジェームズ氏は次のように説明します。「導入したカメラは現在、より広範な目的に使われています。 社内全体で複数の業務を支える柱であり、業界で最高水準の小売店という立場を維持する上で大きな助けとなっています」
たとえば施設部門では、除雪車の運転手が時間通りに到着し、駐車場を除雪しているかシステムにログインして確認できます。 ストアマネージャーはレジ付近が混雑しているか、また別のレジを開ける必要があるか確認するためにログインすることがあります。 マーチャンダイジング部門でも、季節に応じたディスプレイの周囲の通行者数を測定する目的にカメラシステムを活用できます。 複数の店舗を管理するマネージャーにとっては、エリア内で地理的に離れた場所にある複数のLowe’s店舗の運営を効率的に監視し、指導するための手段となります。 「リモートであらゆる業務を視認できることで、シームレスな顧客サービスと店舗運営が実現しています」とジェームズ氏は断言しています。
災害復旧の迅速化に貢献する先進技術
Lowe'sの店舗の多くはハリケーンが発生する地帯にあります。そこで同社ではAxisカメラを使用して嵐の接近を監視し、嵐が建物に与える被害を迅速に評価しています。 ジェームス氏は次のように振り返ります。「以前、ルイジアナ州にハリケーンが上陸しました。 たしか最高風速は時速140マイルだったと思います。 建物の正面に設置されたPTZカメラからの映像はすぐ途切れるだろうと予想していましたが、映像は終始表示されていました」
Lowe’sのチームは現場に足を運ぶ前に、すみやかに被害の程度を判断して修理のリソースを手配することができました。 この結果、混乱を増幅させることなく店舗の営業再開が可能となりました。
オンサイトの技術トレーニングでベストプラクティスを把握
Lowe'sが行ったテクノロジー設備投資の効果を最大化するため、Axisはジェームズ氏が率いるLowe'sテクニカルオペレーションチームを対象にオンサイトで認定プロフェッショナルトレーニングプログラムを実施しました。 ジェームズ氏は次のように振り返ります。「さまざまなカメラモデルについて理解を深めることができただけでなく、設置場所の必要性に応じてカメラ位置のレイアウトを設計するベストプラクティスについても学びました。 Axisの講師は、サードパーティ製品との統合をより深く実施する手法も解説してくれました。 これほど強力なパートナーシップがあることは、大きな意味をもちます」
ジェームズ氏はAXIS Device Managerなどのツールを使って新しいネットワークシステムの構成、インストール、保守を行う方法のほか、Axisが開発したアプリケーションプログラミングインターフェイス、 VAPIX®の活用方法を学んだことがLowe’sにとって非常に有益だったと語っています。
「現在はVAPIX®を使って、1つの店舗のカメラビューを取得すると、会社のほかの全店舗で同じ位置にあるカメラの画像フォルダーを自動でコンパイルするスクリプトを作成しています。 これが完成すると、たとえば新しい看板を設置した結果カメラの視界が遮られるという問題が生じた場合、それが全店舗に及んでいるのか、その店舗だけに生じているのかを判断できます」(ジェームズ氏)。これまで、Lowe'sのチームでは1,700台を超える店舗のカメラに1台ずつログインし、画像を取得してカメラの映像内容をメモする必要がありました。 「このスクリプトは、店舗スタッフの作業時間の大幅な節約につながります」とジェームズ氏は言います。
1つのオープンプラットフォームで大きな可能性を解き放つ
ジェームズ氏は日々Lowe'sの業務改善に目を光らせており、特にサードパーティ製品との統合や社内で開発した分析機能のサポートといった面で、AxisのオープンプラットフォームがLowe'sの今後の拡張作業で大きな柔軟性を発揮する点を高く評価しています。
「私たちが特に高く評価している機能の1つが、カメラ構成で複数のストリームを提供するというAxisの先見性です。 この機能のおかげでビデオをGenetec VMSに録画し、2番目のストリームを分析機能をホストするサーバーに送信することができます。 この2番目のサーバーの運用目的は、サードパーティまたは社内で開発された分析機能を実行してビジネスチャンスをモデル化し、また問題領域を切り分け、業務改善の方法について新たなインサイトを得ることです」(ジェームズ氏)。