Roppongi Shopping Street by night
小売業

六本木の賑わいと安全な街づくりに貢献する映像データの利活用をアクシスのカメラが支える

組織: 六本木商店街振興組合
場所: 東京都港区六本木, 日本
顧客のニーズ: 混雑状況, 統計データ, 損失防止と盗難, 財産や資産の保護, 公共の安全
東京都港区六本木, 日本, 

人流計測と防犯監視を同時に実現するスマート街路灯


課題

国際的でお洒落なエリアとして常に多くの人で賑わう六本木商店街では、さらなる地域活性化のために安全性を高めながらより有効な集客策・売り上げ貢献策を模索していた。映像解析の技術を使って来街者のデータを可視化したいという考えに至るが、そこにはプライバシーの問題があった。

そこでこの分野に知見のあった弁護士から日本電気株式会社(以下NEC)を紹介され、技術とプライバシーの面での相談を行った。その後、街路灯と防犯用カメラの更新が決定し、街の賑わいを創出するためのデータ分析と街の安全安心を守るという要望を同時に実現する、先進的な六本木の地にふさわしい全く新しいコンセプトが求められることとなった。

解決策

この要望をかなえるソリューションの形の1つとして、スマート街路灯というコンセプトが生まれた。LED照明、通信機器、カメラ、スピーカー、サイネージと多機能を1本に集約したスマート街路灯を六本木交差点に設置し、画像解析技術を用いて、防犯及び人流計測を行う。

画像解析技術は、画像から人物・顔を自動で検出し、年齢・性別などを推定するNECソリューションイノベータ株式会社の「FieldAnalyst」を使用している。「AXIS Q3518-LVE」は1台で2つのビューエリアを持つことのできるマルチビューストリーミング機能を使って、広角の映像は防犯用途へ、切り出した映像も映像分析へ耐えうる解像度を保って利用される。プロジェクトはNECとの実証実験を経てプライバシーに十分配慮した形で実現された。

効果

撮影したカメラの映像から画像解析技術により、来街者の移動方向、属性(性別・年代)および人数を24時間リアルタイムに分析できるようになった。実証実験の期間を含め現在約2年半分のデータが蓄積され、推定データに基づき集客施策・売上向上施策の検討に役立っている。さらに行政との交渉の際に説得力のあるデータとしても活用されている。

今後は把握した属性に応じたサイネージによる情報発信や、スピーカーとの連携で集客誘導の計画もされている。今回のデータ利活用をベースにした街づくりの取り組みは、スマートシティを地域と共に目に見える形で実現した初の事例として各方面から注目を浴びている。

これまで感覚的に捉えていた来街者の通行量や属性を、数値として客観的に見ることが、 最大のメリットです。街づくりに関する行政や交通管理者、工事関係者との調整の場においても、説得力のある根拠データとなっています。
六本木商店街振興組合理事長

システム導入の背景と詳細

六本木商店街振興組合は、安全・安心で賑わいあるまちづくりを目指して、地域活性化活動を行っている。「Art & Design」をコンセプトとする同組合は、景観に配慮しつつ、さらなる集客と売上の向上を図るために、国内外からの観光客など街を訪れる人の流れや属性を可視化したいと考えていた。

そのためにはカメラで撮影して分析する手法が有効であることを知るものの、そこにはプライバシーの懸念があった。そこで早くからデータ利活用のための画像解析技術を開発し、それに伴うプライバシー問題についても知見のあったNECを弁護士経由で紹介されたことが今回のプロジェクトとなった。

時を同じくして、2020年東京オリンピックに向けて歩道の拡張工事が決定し、既存の街路灯と防犯用のカメラを更新することとなる。これを機に六本木の象徴となる全く新しい街路灯が求められ、防犯や人流計測など複数の機能を1つに集約し、街路灯をエッジの端末として活用するスマート街路灯のコンセプトが誕生した。

「我々は、はじめからスマート街路灯という形を目指していたわけではありませんでした。」と語るのはNEC東京オリンピック・パラリンピック推進本部 本部長の水口喜博氏。「六本木商店街振興組合様からの、街の可視化というニーズから我々のコンサルティング提案の結果、データ利活用の部分に価値があると認めて頂いた結果がこのような形になったと考えています。」

しかし、このコンセプトが現実となるまでには様々な苦労を伴った。この前例がないプロジェクトは設計、プロセスなどを六本木商店街振興組合とNECが密に連携して、行政や法規制の課題を1つ1つクリアにしていく必要があった。プライバシーについても、様々な専門家と解決の糸口を探り、最終的に実証実験の期間を設けて説得した。

技術的にも課題は多々あった。採用された街路灯のデザインはカメラを街路灯の筐体の中に内蔵する斬新なもので、設計としてもスペース上の制約を伴った。当初、防犯用途と人流計測用途には必要な画角が異なることから2台別々のカメラが必要と考えられていた。

Polecam box closeup

しかしアクシスのマルチビュー機能で広域と解析用高解像画像の両方の表示が可能となり、1台で実現することができた。また画像解析にも、4Kのカメラのおかげで部分拡大に耐える高解像度画像の認識精度を保つことができた。

カメラの選定においては、24時間賑わう地域柄、明所と暗所が混在する過酷な屋外環境でも分析に必要な映像が取れるかがキーとなった。Forensic WDRLightfinderを特長とする「AXIS Q3518-LVE」は逆光環境に強く低照度でも必要な画像が撮影できることが実証され、採用に至った。アクシスが初期段階からプロジェクトに関わり、具体的な利用シーンに踏み込んだ提案でサポートを行ったこともお客様の要望実現の上では大きかったという。

現在、人流等の情報は六本木商店街振興組合からWEB上で随時確認できるようになっており、またNECからも月次で比較データを振興組合と共有することで施策に活用している。2年半のデータが蓄積された現在、季節傾向や、前年比較、天候やイベントによる影響などについて予測分析ができるようになった。感覚ではないファクトとしてのデータは、非常に説得力のある材料として、行政との調整の際にも役立っているという。

今回10本設置されたスマート街路灯はこれからもその数を増やし、さらなるデータ活用に向けて六本木商店街振興組合とNECとの取り組みは続く。対象者の属性に応じてサイネージに広告を表示させることで消費行動や店舗誘導を促す他、注意喚起を必要な場所にだけピンポイントでスピーカーから行うスマートな運用も計画されている。

Polecam from below with skyscrapers in background

現在データ活用の動きは各地でみられるものの、ここまで地域と一緒になった実施例はまだ他にないという。「我々が目指すところは、データの利活用でいかに街の効率化、活性化のお手伝いをしていくかというところにあります。」(NEC水口氏)六本木商店街をモデルケースに今後、地域活性化に安全安心をプラスしたスマートな街づくりが全国で広がっていくことが期待される。

製品とソリューション

two happy women with shopping bags entering a store

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