音声対応のビデオテクノロジーで酪農工場を監視
ドイツを代表する乳製品企業は、その工場でIPカメラを使用して充填ラインと屋外エリアを監視しています。
ミッション
ドイツを代表する乳製品企業、Milchwerke Schwaben eGは、生産を監視するためのネットワークカメラを数台、ノイウルムの工場に導入しました。 工場の入口と配送ゾーンにセキュリティを確保して簡単な立ち入り管理を行うことに加えて、充填ラインやバルブマニホールド、粉体サイロなどに異常が発生した場合には、すぐに音で従業員に通知する必要がありました。
解決策
このソリューションの土台となっているのは、AXIS Camera Stationビデオ管理ソフトウェアを使用して効率よく、簡単に操作することができる、Axisの高解像度カメラとスピーカーです。 バルブ、ポンプ、ローディングシステムに加え、生産チェーン全体を正確に、そして昼夜を問わず把握することができます。 異常事態が発生した場合には、Axisのスピーカーを介して音響アラーム信号で通知されるので、従業員は迅速に対応することができます。 酪農工場にとって、情報が映像と音声でリアルタイムに得られるのは大きな利点です。
Milchwerke Schwabenは、ノイウルムに拠点を置く電気会社Reimer Elektrotechnikをプロジェクトの顧問コンサルタントに起用し、ネットワークカメラ分野でイノベーションを牽引するAxis Communicationsに白羽の矢を立てます。 敷地内には合計25台のネットワークカメラ (屋外のエリアをカバーするマルチセンサーカメラを含む) が、生産ホールにはネットワーク音声システムが、Reimer社によって設置されました。
効果
ソリューションの設置とネットワークカメラの運用は、屋内・屋外ともにスムーズに進みました。 最初に設置されたAxisカメラは2台でしたが、その後、徐々にカメラが追加されていきます。たちまちその利点がMilchwerke社の経営陣の目に留まったためです。 そうして、Axisのエンドツーエンドのソリューションは、Milchwerke社の変化するニーズに適合しました。 AXIS Camera Stationビデオ管理システムなら、カメラやスピーカーの追加によるシステムの拡張を、いつでも簡単に、かつ柔軟に行うことが可能です。
新しいネットワークカメラの効果は、紛れもなくすぐに明らかとなりました。 音による警告とビデオとの連動性も、当社にとっては大変重要です。 ライブ伝送の遅延が非常に少ないネットワークのおかげで、生産を適切に監視し、必要であれば運転を停止することができます。それによって大幅なコスト削減に成功したのです。
ウルムに本社を置き、ノイウルムに主要な生産拠点を置くMilchwerke Schwaben eGは、1922年に設立されました。当時、ウルムの酪農家の中には、乳製品を集団でより効率よく生産できるよう協同組合を組織する人々がいました。 現在、その協同組合には、地域の牛乳生産業者を中心に、900を超える組合員が加入しています。
ドイツを代表する乳製品企業の一つとして (2020年半ば現在)、180名以上の従業員が「Weideglück」というブランド名で、1日平均200トンのヨーグルトとデザートの特産品、32トンのバター、100トンのチーズ、61トンの牛乳とホエイパウダーを生産しています。 Milchwerke Schwabenは毎年、4億2,600万キログラムの牛乳とホエイパウダーを処理しています。 「Weideglück」製品は、世界70か国に輸出されています。
ネットワークカメラによってもたらされる高い品質とセキュリティ
ウルムの工場に現在のシステムが導入された経緯をたどってみましょう。 繊細な乳製品の品質と安全性を高い水準に保ち、原材料のロスを減らしてコストを削減するために、Milchwerke Schwaben社は生産ホール内外のビデオ監視システムをアップグレードすることを決定しました。
第1段階として、工場を出入りするトラックのナンバープレートを認識できるよう、新しいネットワークカメラが工場の入口に設置されました。トラック運転中の破損事故が時折発生していたためです。 現在、屋外のエリアは、AXIS P1447-LEとAXIS P3719-PLEマルチセンサーカメラによって監視されています。 後者は、設置が簡単で費用がかからないうえに、屋外エリアで複数の方向を撮影することができます。4つのカメラの機能が1台のデバイスに搭載されているからです。
屋外エリアに加え、充填ラインの画像をライブ伝送することが、導入作業の重要なポイントとなりました。 Milchwerke社が望んでいたのは、充填ラインに何らかの異常が発生したとき速やかに音で通知する機能です。 「現在、屋内と屋外に25台のカメラが設置されていて、工場の入口につながる交差点と充填ラインを完全に把握できている」と、Milchwerke Schwabenで電気保守ワークショップ責任者を務めるホルガー・ゲバウアー (Holger Gebauer) 氏は説明します。
生産工程に異常が発生すると直ちに音響信号が作動
工場の内部を撮影するのは、AXIS P1435-LE Network Camera 2台とAXIS M2026-LE MK II Network Camera 5台です。これらのネットワークカメラによってパイプラインシステムが監視されます。 広角カメラM2026-LE MK IIは、そこで使用されています。 このラインにはトラックから高圧で粉乳が送り込まれるため、この生産段階には特別な注意が必要です。
接続、電磁弁、ポンプがすべて正しく設定されていなければなりません。 そうでなければ、貴重な原材料が短期間で大量に失われる可能性があります。 粉乳ラインのカメラが音声システムに直接されているのはそのためです。大量の粉末が積もっている場合には直ちに警告信号音が発報されます。 AXIS Video Motion Detection 4を活用することで、カメラは粉末の漏れなど異常な事態や動作を検知し、ネットワーク経由でアラームを作動させます。
「新しいネットワークカメラの効果は、紛れもなくすぐに明らかとなりました。 映像はクリアで、細部も見やすかった。 音による警告とビデオとの連動性も、当社にとっては大変重要です。 ライブ伝送の遅延が非常に少ないネットワークのおかげで、生産を適切に監視し、必要であれば運転を停止することができます。それによって大幅なコスト削減に成功したのです」とゲバウアー氏は言います。
ビデオ管理ソフトウェアを使用したシンプルなシステム拡張が可能に
Milchwerke社にとって特に重要だったのは、すべてのコンポーネント、つまりエンコーダ、カメラ、音声システムが正しく連携することです。 AXIS P7216 Video Encoderは、この設置作業の重要なコンポーネントです。古いアナログカメラからの画像は、このコンポーネントによってデジタル信号に変換されます。 こうしてMilchwerke社は、アナログカメラを使用しながら、IPテクノロジーのあらゆる恩恵を享受することに成功しました。
プロジェクト当初は、ビデオ管理ソフトウェアとしてAXIS Companionが使われていましたが、現在ではAXIS Camera Station (ACS) にシステムが移行されています。ACSはMilchwerken Schwabenの仮想サーバー上で動作しており、それによって、将来のシステム拡張が簡素化されます。 Milchwerke社にとってとりわけ重要なのは、柔軟で拡張できるシステムです。新製品が絶えず開発される中で、システムとプロセスを適合させる必要があるからです。
生産ラインのすべての要素は、AXIS Camera Stationを介してリンクされ管理されます。 オペレーションルームにある55インチのモニターには、さまざまな生産エリアに設置された16台のカメラからの画像がリアルタイムで映し出されます。 データの保護上、屋内の映像は録画されないため、従業員が絶えずモニターを監視します。 また、高性能なAXIS Camera Stationには直感的なユーザーインターフェースが備わっているため、何か起きてもリアルタイムで対応することが可能です。 Milchwerke社は要件に応じて、ライブビュー、サイト計画、Webサイト表示を含むレイアウトを、日々のニーズに合わせてドラッグアンドドロップで調整することができます。
運用プロセスの効率と最適化
カメラと音声にかかわるソリューションの選定と導入は、Reimer Elektrotechnikが担当しました。ノイウルムにおけるシステム全体のサポートとメンテナンスも同社の役割です。 工場には、機械のチェックや電気系統の調整と交換を行う常勤の従業員が2人配属されています。 「すべての工程が滞りなく稼動し、機械が停止することのないように、私たちが現場に常駐しています。 運用プロセスの効率と最適化にも気を配っており、それが、この先進的な生産監視ソリューションの調達先として当社がAxisを選んだ理由の一つでもあるのです」。Reimer社の主任電気技師、マーク・クロッペル (Marc Klöppel) 氏は、そう付け加えました。
ノイウルムでのプロジェクトは、ほんの数台のカメラと基本的なシステムから始まりました。 新しいソリューションの効果はすぐに現れ、それにつれて、カメラ、エンコーダ、音声のソリューションが徐々に追加されていきました。 それらのソリューションを既存のシステムにシームレスに統合できた背景には、Axisのエンドツーエンドのセキュリティソリューションがあります。 そうしてMilchwerke社は、その要件に合わせて成長する、将来も使い続けられるセキュリティシステムを手に入れたのです。